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「本格小説」 その1

なんともおかしな題名だけれど、読むと、この題名がいかにぴったりかがわかります。。





作者は、あの「續 明暗」を書いた、水村美苗氏。
本家本元の夏目漱石の未完「明暗」よりも、彼女の「續 明暗」を読み返すことが多い私。。
何度読んでも、細部に渡る漱石の伏線を、余すところなく完結させた、水村氏の才能に惚れ惚れしてしまうのです。。

父の赴任で、ニューヨークで育ち、そのまま大学・大学院へと進んだ水村氏ですから、実はバイリンガル。
彼女の二作目は、英語と日本語の混じり合った私小説でした。
これは、私はちょっと苦手で、最後まで読んでいないのです。。

今と違い、渡米したら帰国できない時代。
アメリカで、日本への憧憬から、日本の文学作品に没頭していた(というより、それだけが世界だった)彼女だからこそ、あの近現代文学独特の世界観を甦らすことができるのだと思います。

旧時代から現代へと変わって行く寂しさと、新しい時代の風を感じる昂揚感が綯い交ぜになった、独特の雰囲気を持った近現代文学の面白さ。。
現代では見られなくなった、古き良き、そして悪しき日本人の面影が垣間見られます。    

本書前半は、彼女の私小説部分なのですが、そこに「有島武郎」の「或る女」についての記述が出て来ます。

     あの葉子 -この名は右横にルビが「えふこ」とふっていないとつまらないのだがー

この一文に、「わかるわかる!その気持ち!」と思わず言ってしまった私。。
学生時代、あの古めかしく薄紙の貼られた岩波文庫が、学生時代の思い出と共に甦ってしまいました。 



本書は、3つの文体と構成からできています。

本題に入るまでの、水村氏の私小説。
彼女に「本格小説」執筆を決心させた、ある若者のお話。
「本格小説」を紡ぐ、一人の女性の告白。

私小説部分は、彼女の怠惰とも言える若い時代を反映してか、文章も締まりが無く、どこまでも怠惰な雰囲気になっています。
それが、「本格小説」の本筋に入るや否や、「續 明暗」を彷彿とさせる文体にがらりと変わり、読者を引き込んで行くのです。

読み始めたら最後、止まらなくなりました。。
それでも、家事をしながらの合間合間でしたので、一通り片付いた夜、没頭してしまうと、旦那様には「先にお風呂に入っちゃいなさい!」と言われる始末。。(^_^.)

久しぶりに読み応えのある小説・・・「本格的な」小説に出会いました。



・・・つづく・・・
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